「ねえ!リーセ聞いてる?ねえってば!」
はっ
俺はどうやらぼーっとしていたようだ。
ここはオニスの大学の(こんな港町に珍しい)図書室の中。
あれから船旅は快適にすすみ、約三日後、このオニスについた。
そして直行で宿屋を見つけ、荷物をおいて、この大学図書館に来たのだった。
この図書館には古代、もしくは前の世界に関することの資料が豊富にある。
もちろん俺達はここに、今までの伝説のテバジャのことを調べようと来たのであった。
俺達は神魔族よりも情報は少ないから。
「んでね、ひとつ気になることがあったのよ。
伝説のテバジャって言うけど、実際は二人だったらしいのよね。
一人が力の源で、一人が補佐?精神面で支えてたらしいのよ。」
「二人ねえ……」
「そうすると、俺の補佐官?って誰なんだ?」
「それよりも伝説のテバジャの条件って知ってます?」
と、リリーが尋ねる。
「んー?まず、神と魔の力かな?」
と、アリスが言う。
「そうですね。それが第一条件です。その力がなくては世界を破壊できませんし。」
「あとは……」
俺、アリス、ケインの三人は唸る。
リリーがぽそりという。
「蒼い瞳と紅い瞳です。」
「蒼い瞳と…紅い瞳…?俺と…アリス…?」
こくんとリリーはうなずく。
「んじゃ、リーセが世界を崩壊させてもアリスも生き残るってことなのか?」
「さあ?それはどうかわかりません。
伝説のテバジャが後の世界まで生きていたかって事は分かりませんし。」
リリーは一息ついて、
「第一それは一人じゃなくてもいいんですが、普通いないでしょう。赤と蒼の瞳なんて。
世界の根本を創造したカオスは赤と蒼の瞳だったらしいですよ。
あと、もう一つ。伝説を詳しく調べた人しかわからなかったことなんですが。」
「カオスがわれわれを創造するのに使った剣。
金とも銀ともいえない色をしていた剣が必要らしいんです。それで、空間を切り裂く。
神魔の力が破壊の力だったとしたら、その剣は再生するための物ということですね。
神魔の巨大な力に再生するための体がなくなってしまっては困るので、
瞳という防御シールドが必要なようなんですよ。」
ふーんと俺達三人はため息を吐く。
「その剣をズバリ、エルピスの剣といいます!」
ばーんとリリーは人差し指をさし言う。
「エルピス…エルピス…?なんか聞いたことが……あ!!」
「え?」
俺はアリスの言葉に吃驚した。
「エルピスっていえば、エルピスの渓谷よ!この街の近くにある!」
「そうなんです。わたしがこの場所を推薦したのはそのせいもあるんです。
この近くにあるエルピスの渓谷に誰が抜いても抜けないらしい剣があるらしいんです。
もしかしたら、それがエルピスの剣かも知れない。」
「ほう。というとその剣がそろうと、リーセたちはとてつもない力を手に入れるというわけなのか。」
「でも…」
と、リリーは言葉に詰まる。
「世界を滅ぼすきっかけになる衝撃が必要なんですよ。
その衝撃はこの前のようなかんじの、強い、怒りのような…
あと、伝説のテバジャの相方テバジャであるためのふさわしい力…」
「ふさわしい、力…」
と、アリスが言う。
ふさわしい力って何だろう。
今の力じゃいけないのだろうか。
「まあ、ともかく、そのエルピスの剣ってやらをてにいれなくちゃいけねーんじゃねーの?」
「ええ、まずはそれからってことですね。」
「ああ。」
「何時、行くんだ?今から?」
「もちろんさ、ケイン。今から直行だ!」
と、俺達三人が話し合い、席を立ち、出口に立つと、
「っちょっとまってよ!観光はぁ?」
と言った、アリスが追いかけてきた。
もちろん俺はこういった。
「おあずけっ。」
『いやだ』という声が聞こえたのは言うまでもない。
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