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うごうご文庫は問いかける | ||
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2005年3月5日
前回に引き続き、今回も富士見ファンタジア文庫の装丁に関連したお話です。 |
今回は本の写真を多数掲載しております。
版権元の承諾を得ておりませんので、版権元から削除するようにとのご連絡を頂いた場合、
速やかに削除いたします。 |
さて、貴方は「うごうご文庫」というものをご存知でしょうか。
榊一郎さんのファンの方ならご存知かも知れません。
榊一郎さんの同人サークル「うごうご榊くん」から刊行された同人文庫レーベルです。
同人というと「きゃー!おにいちゃんえっちー!」みたいなものを(どういうものだ)
即座に連想される方も多いかも知れませんが、ご安心下さい、
「うごうご文庫」はそういうベクトルでみれば、いたって健全な同人作品です。
そういうベクトルでは、と申しましたが、では違う面ではどうかと言いますと、
これが私の乏しい語彙では非常に説明しにくいものでありまして・・・・ |
念のため申し上げておきますと、左の1冊はうごうご文庫ではありません。
富士見ファンタジア文庫刊、榊一郎さん著/藤城陽さんイラストの「ストレイト・ジャケット」の第2巻です。
右の2冊がうごうご文庫で、やはり榊一郎さん著/藤城陽さんイラストの「英雄衍義」上下巻です。
実を申しますと、同人誌ではファンタジア文庫の装丁を真似た「偽物」は決して少なくありません。
貴方が大規模な同人誌即売会を練り歩けば、毎回のように見ることができるものであります。
さらに私が驚いたと言うか、感心したのは、「英雄衍義」に付けられていた帯が、
ファンタジア文庫の帯を巧妙にパクったものであったことでした。 |
左は本物のファンタジア文庫です。
「英雄衍義」が刊行された当時のファンタジア文庫の新刊には、
よく「○○の最新刊」という帯が付けられていました。
そして「英雄衍義」の上巻にも、そっくりの帯が付けられていたのです。
しかもそれは「電撃の最新刊」と銘打たれていました。 |
下巻の帯も際どいところを攻めています。
当時ファンタジア文庫では創刊12周年フェアを開催していました。
キャッチフレーズは「もう始まっている。」でした。
榊一郎さんがどういう意図でこのコピーを載せたのかは分かりません。
深い意味はないのかも知れません。
しかし根がひねくれている私はどうしても、ファンタジア文庫を支える人気作家である榊一郎さんが、
ファンタジア文庫の現状に対して皮肉と言うか、疑問を投げ掛けているように勘ぐってしまうのです。
ちなみにファンタジア文庫の創刊12周年フェアは、
帯の折りかえしの角を2冊分切り取って応募すると、テッサのフルメタルしおりが全員にプレゼントされました。
私もGETしました。当然ですよね?ね?(をぃ)
そして、これは強調しておきたいのですが、「英雄衍義」という物語の内容が、
おふざけなパロディではなく、あくまでハートフルな、典型的な榊一郎作品になっていることも重要であります。
そうなってくると、「これはパチモンなのか?偽物と呼んで良いものなのか?」という疑問が湧いてきます。
プロの作家とプロのイラストレーターが、本物そっくりの装丁で、本物に負けない内容の本を作ってしまう。
それはやがて「本物のファンタジア文庫って、一体なんなの?」という疑問につながってきてしまうのです。
無論、一般の編集・印刷・製本・流通といったルートに乗らない分、
ファンタジ文庫に比べてうごうご文庫は相当お値段がはります。
しかも普通の本屋では入手できません。
同人誌であるがために、榊一郎さんのファンの方でさえこうした作品に触れられる機会がない、
あるいは作品の存在そのものをご存知ないという残念な現象が少なからずあります。
しかし、けれども、そうした業界内の諸々の問題があるとは分かっていても、敢えて私は、
「英雄衍義」という究極にファンタジア文庫に近い偽物を作ったということ自体に、
榊一郎さんが何らかのメッセージを込めていたのではないかと思うのです。思ってしまうのです。(笑) |
何というか個人的に『偽物』という言葉にはちと惹かれるものがあります。 割と否定的な意味に使われる事が多いですが、私はそこにむしろ惹かれるというか。 本物になれない偽物の悲哀とか。偽物が本質的に孕む矛盾とか。偽物である故の利点とか。 ―――「君が居た昨日、僕の見る明日」2巻355〜356ページ(あとがき)より。 |
これを読んで、私は3年前に同人誌即売会の行列に並んで入手した
うごうご文庫と「英雄衍義」のことを思い出したのでした。
まぁそれ以外にも「英雄衍義」のツインヒロインが「花梨」と「アグニエシカ」という名前で、
同じ名前のキャラが「イコノクラスト!」やら「キミボク」やらにも出てきていることとか、
「イコノクラスト!」の設定って「英雄衍義」と似てないか?と思ったこととかもあるのですけれど、
それ以前になんだか収集・・・ではなくて収拾が付かなくなって参りましたので、
今宵はここまでにいたしとうございまする。
最後に。こんなコーナーを作ってしまいましたが、私はファンタジア文庫のファンであります。
応援しております。ドラゴンマガジンとファンタジアバトルロイヤルも毎号買っております。
ではまた次回、お付き合いくださいませ。 |